ガリレオ 沈黙のパレード
【レビュー】ガリレオ 沈黙のパレード

TVドラマでお馴染みの福山雅治演じる物理学者の湯川学が、親友である草薙刑事(北村一輝)や草薙の後輩である内海刑事(柴咲コウ)と事件を解決していくストーリーで映画としては3作目となる。
プスタポンテプロフィール画像
38年間のサラリーマン経験のある年金生活者(シニア) 転勤族ゆえ単身赴任歴は約20年、会社は3社を経験。映画をよく見るようになったのは母親の影響もあり、小学生の頃。九州生まれ、関西在住のA型山羊座、干支は亥です。
見どころ

TVドラマでお馴染みの福山雅治演じる物理学者の湯川学が、親友である草薙刑事(北村一輝)や草薙の後輩である内海刑事(柴咲コウ)と事件を解決していくストーリーで映画としては3作目となる。

主な出演者

福山雅治、柴咲コウ、北村一輝、飯尾和樹、戸田菜穂、川床明日香、田口浩正、岡山天音、椎名桔平、檀れい、村上淳、吉田羊、酒向芳 他

評価

★★★☆☆

感想

私は原作を読まずに映画を鑑賞しましたが、130分の時間軸にストーリーを入れるのが無理のように感じました。序盤は少し間延びした感じがありましたが、後半は一転して極めて早い展開で、凝縮されており、ペース配分が勿体なく思えました。

全体としては村上淳演じる蓮沼寛一の殺人事件の解明から、過去の事件とのつながりや過去に起きた事件の真実までもが明かされていくといったストーリー展開です。過去の事件処理に悩む草薙刑事の葛藤や愛する者を一瞬にして奪われた家族たちの消えることのない憎しみが描かれており、演技も含めて見応えのあるシーンが多くありました。特に殺害された女子学生の父親並木祐太郎(飯尾和樹)や再犯の種を作ったという良心の呵責に耐えきれなくなった草薙刑事(北村一輝)の演技は、迫真に迫るものがあります。

一方、登場人物が多いことやキーとなる人物(酒向芳が演じる増村栄治)の描写が少ないことから、ストーリーの展開は理解できるものの、もう少し丁寧なステップがある方が映画に入り込めたのでは?とも感じました。

今回の殺人事件解決に当たって、物理学者としての湯川博士の出番は、殺人方法の仮説を証明することでしたが、その後の推理や行動が刑事の領域に大きく踏み込んでいる点や完全黙秘が不起訴で無罪放免になるという草薙刑事の説明には少し違和感を覚えました。

湯川博士と内海刑事とのやりとりや出演者の演技力に加えて、思いもよらない結末もあり、映画館に出向いて充分に楽しめる作品と思います。本作のキャッチコピーにある「沈黙は、連鎖するーそれは罪か、愛か」というように「沈黙」によって誰かをあるいは何かを守ろうとして、それが罪なのか愛なのかを問いかけてくる哲学的な感じも受けました。理不尽な犯罪によって狂わされた人生や消え去ることのない憎悪と復讐心を和らげてくれるのが、適正な法の裁きであることは誰もが頭では理解しています。一方、法の限界もあることから、一時的な憤りを抑制できない自分を、みんなが心の奥底に潜ませているのが現実ということを考える時間にもなると思います。

勧善懲悪、ハッピーエンドが大好きな私にとっては、正直なところ、あまり後味が良くない作品の一つでした。錚々たるキャストが出演していて、少し勿体ない使い方と思う点もありましたが、エンディングで流れる柴咲コウの唄う主題歌「ヒトツボシ」は劇中の人物を投影した歌で、しみじみしました。

あらすじ(ネタバレあり)

行方不明となっている並木佐織(川床明日香)の遺体が焼死体として、過去に殺人罪の容疑者で無罪となった蓮沼寛一(村上淳)の実家から発見されます。並木佐織は、その卓越した歌唱力から将来を嘱望されていた女学生で、定食屋「なみきや」の長女です。その「なみきや」は湯川博士も常連という縁のあるお店になっています。この捜査本部に召喚された草薙刑事が、容疑者である蓮沼寛一の名前を聞き、過去のトラウマから嘔吐してしまうところから物語は始まります。蓮沼は、15年前に幼女殺人犯の容疑者として、草薙刑事が逮捕したものの、完全黙秘を貫き釈放された、いわく付きの人物です。

しかし今回も、蓮沼は証拠不十分で釈放され、その後に遺族の前に現れ、損害賠償を要求してきたことから、遺族のみならず、周囲の仲間たちも憤りを抑えきれなくなってしまいます。このような中で、夏祭りのパレードの日に蓮沼が殺害されるという事件が起こります。

殺害の動機がある遺族や関係者が容疑者として疑われる中で、捜査は行き詰まりますが、殺害方法について湯川博士の仮説が立証され、殺害のスキームが解き明かされていきます。この過程で15年前の事件との関係も明らかになっていきます。この時のキーマンは、酒向芳が演じる増村栄治になります。最終的に誰が殺害を実行したかということも明確になり、犯人は逮捕、自供もとれて一件落着となったかのように見えたところ、思いもよらない展開が待ち受けていました。

まず、並木佐織が失踪した日に何が起きたのか、蓮沼が持っていた並木佐織の血液が付着した作業着には、いつこの血液が付着したかという点を湯川博士の観察力と洞察力とで解明していくことになります。その結果として蓮沼殺害の真の動機も明らかになります。失踪当日に起きたことやその後の行動については、決め手になる物証はないものの、この解明の流れは、物理学者の領域ではなく、敏腕刑事の領域になります。

全ての真実、背景が明らかになり、関与した人たちの罪状や扱いも決まった後に、町は日常を取り戻しますが、感情的には理解できながらも、越えてはならない一線を越えてしまった人たちの生活は完全に元通りにはならないという現実を見たような気がしました。

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